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相続税調査状況2
【平成25年度分の相続税の申告状況】
平成25年度中の被相続人(死亡者)の人数はおよそ127万人でした。
その中で相続税の課税対象となった被相続人の数はおよそ5万4千人で、課税価格にすると11兆6,253億円となり、被相続人一人あたりでの額は2億1,362万円となりました。
上記に対する税額は1兆5,367億円となり、これを被相続人一人あたりにすると、2,824万円となりました。
【相続税を申告する際の留意点】
1.資料収集
相続税申告の際には、資料収集が重要となってきます。漏れが発生しないように資料収集を行うためには、国税庁より発表されている「相続税の申告のためのチェックシート」を活用することも良いでしょう。
2.預貯金等の推移の確認
過去の預貯金の動きを把握する必要があります。その際には、金融機関等で過去3年から5年の預貯金の取引を確認を行います。確認時には家族名義預金であるのか、生前贈与財産に該当するのか、などの検討を行います。預貯金の動きを追うことにより、財産の購入事実を把握することができたり、有価証券等の財産の有無の確認がとれたり、債務の有無も確認することができます。
3.不動産の現地確認
不動産については必ず現地確認を行ってください。現地確認の際には登記簿等に記載されている内容と実際のものが合っているか否かを検討します。この現地調査を行うことにより、誤った財産評価の算定を防ぐことが可能となります。
4.同族会社への貸付金の確認
被相続人の同族会社に対する債権も相続財産となります。被相続人が同族会社の経営を行っている場合には、貸付金等の有無の確認が必要となってきます。
5.海外資産の確認
海外資産の存在については、国外財産調書制度が開始されたり海外資産についての事案に係る調査実績の推移からして、税務当局が海外資産について注目していることがわかります。
6.書面添付制度の活用
税理士法第30条に規定する税務代理権限証書、税理士法第33条の2に規定する書面を添付した申告書の提出を行っているという2つの要件を満たしている場合には、税務当局は調査の通知前において、税務代理権限証書を提出している税理士に対して、添付書面に記載がなされた事項に関する意見を述べる機会を与えなければならないこととなっています。そのため、この書面添付制度の活用も有益な方法と考えられます。
2015年05月27日
相続税調査状況
国税庁は、平成26年11月に「平成25年の事務年度における相続税の調査状況」についてを公表し、
さらに12月に「平成25年度分の相続税の申告の状況について」を公表しました。
相続税の税務調査については、所得税や法人税などの税務調査に比べて高頻度で行われています。
【平成25年の事務年度における相続税の調査状況】
1.実地調査件数・申告漏れ等の非違件数
相続税の実地調査は、平成23年度中・平成24年度中に発生した相続を中心として国税局や税務署で
収集した資料情報を基にして
・申告額が過少と思われるもの
・申告義務があるにも関わらず無申告となっていると思われるもの
に対し実施したものとなります。
実地調査の件数は、併せて11,909件に上り、このうち申告漏れ等の非違があったものは9,809件、
非違割合は82.4%、追徴税額(加算税も含んだもの)は539億円となっています。
2.海外資産関連事案に関する調査実績
海外資産に係る申告漏れ等の非違件数は124件(前事務年度113件)となっています。
申告漏れ課税価格は163億円(前事務年度26億円)となっており、前事務年度の6倍超となっています。
3.申告漏れ相続財産の金額の内訳
申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金及び預貯金等が1,189億円で最も多く、続いて土地が412億円、
有価証券が355億円、との結果となっています。
2015年05月18日
番号制度(マイナンバー)とは2
(2015.4.20 PM 03:52 記事続き)
平成28年1月よりマイナンバーを利用することとなります。利用される主な場面は、社会保障や税関連及び災害対策の分野などです。マイナンバーは法律又は各自治体にて条例によって定められている手続でのみ使用できます。
【国や地方公共団体での利用】
マイナンバーは国の機関や地方公共団体等において、社会保障や税関連及び災害対策の分野で利用される予定です。このため、国民全員に、上記分野に関わる申請書等にマイナンバーの記載を求められます。
税・社会保険の手続では、事業主、証券会社、保険会社などが個人に代わり手続きを行う場合もあります。そのため、勤務先、証券会社、保険会社、金融機関などで、マイナンバーの提出を求められることがあります。
【民間企業での利用】
民間企業では、従業員の社会保険の加入手続を行い、従業員の給料から源泉所得税を差し引き、これを納めています。証券会社・保険会社・金融機関においては、利金・配当金・保険金等に関する税務の処理を行っています。
そのため、平成28年1月以降、この手続を行うためにはマイナンバーが必要となり、勤務先や金融機関に本人やその家族のマイナンバーを提示する必要がでてきます。
また、民間企業が外部の方に報酬を支払う場合においては、報酬から税金の源泉徴収をする必要があるため、この外部の方からもマイナンバーを提供してもらうことが必要です。
【個人情報の管理について】
マイナンバーは、社会保障や税関連及び災害対策の分野の手続のために、国、地方公共団体、各勤務先、金融機関、年金・医療保険者等に提供されますが、法律で定められた目的以外では他人にマイナンバーを提供することはできません。
もし他人のマイナンバーの不正入手をおこなったり、他人のマイナンバーを取り扱っている人が、マイナンバー及び個人の秘密が記録されている個人情報ファイルを他人に不当に提供したりすると、処罰対象となります。
【個人情報の保護措置について】
マイナンバーの導入の検討を行った際、個人情報の漏えい、他人のマイナンバーでのなりすましなどへの懸念がありました。 そのためマイナンバーを安心・安全に利用してもらうために、『制度面』と『システム面』の双方より個人情報保護を行うようにされました。
まず、制度面の保護措置は、法律によって規定があるものを除き、マイナンバーを含む個人情報を収集・保管することを禁止するものとなっています。また、『特定個人情報保護委員会』という第三者の機関によって、マイナンバーが適切な形で管理が行われているか監視及び監督を行うこととなっています。違反した場合の罰則規定も、従来より重いものとなっています。
次に、システム面の保護措置は、個人情報の一元管理ではなく、今まで通り分散管理を行います。例えば、年金の情報については年金事務所、税の情報についてはは税務署という形となります。
また、行政機関同士の間で情報のやりとりをする場合には、直接マイナンバーを使うことのないようにする、情報システムへアクセスできる人を制限、通信の際の暗号化など、個人情報の保護に関する様々な措置が講じられています。
2015年05月12日