同族会社による生保節税の落し穴に関心が寄せられています。特殊支配同族会社は、社長の給与所得控除相当額を損金算入できませんが、「直前3年以内に開始する各事業年度における所得の平均額(基準所得金額)が年1600万円以下」なら対象外です。関心が寄せられているのは、その「所得」の解釈についてです。
基準所得金額の計算上の「所得」は、法人税額計算上の所得とは異なり、業務主催役員への役員給与を支払う前段階の所得を指します。このため、他の費目が否認されて給与認定されることで基準所得金額が1600万円を超えてしまうこともあります。生保節税で引っかかるケースはその一例です。
会社を契約者、役員および従業員を被保険者とする養老保険で、満期保険金受取人を会社、死亡保険金受取人を被保険者の遺族とした場合、支払保険料の2分の1は資産計上ですが、残り2分の1は損金に算入できます。費目は普遍加入なら福利厚生費です。一部を対象とした加入なら給与扱いとなります。
ここでいう「一部の社員」には、役員だけ、同族関係者だけなども含まれますが、このあたりを読み違えて福利厚生費処理していた保険料が給与認定されてしまい、それによって基準所得金額が1600万円超となるケースが出てくる可能性があるのです。
せっかくの生保戦略が逆効果にならないよう細かい取扱いを十分に確認しておきたいものです。(エヌピー通信社)
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