平成20年度の与党税制改正大綱において、「新しい事業承継税制の制度化にあわせて、
相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する」ことが明記されています。
ここでいう「新しい事業承継税制」とは、同じく平成20年度の与党税制改正大綱に記載されている「自社株の相続税の納税猶予制度」のことです。この制度は、取引相場の無い自社株式(未公開株式)を事業後継者が相続した場合、一定の要件を満たせば、当該自社株式に係る相続税額の80%が猶予されるというものです。
同制度は平成21年度税制改正での成立が予定されており、成立すれば平成20年10月に遡って適用されるようです。
そして、同制度に合わせて検討されることになっているのが、「遺産取得課税方式」という相続税の課税方式です。
現在の課税方式は「法定相続分課税方式」と呼ばれるものです。簡単に言うと、遺産が法定通りに相続されたものとして相続税額を計算し、その税額を実際に相続した遺産額の比率で各相続人に配分するものです。
遺産取得課税方式が採用された場合、相続税額の計算は簡素化されそうですが、遺産の配分については、これまで以上の注意が必要になるかもしれません。